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【第1部】 第41話 本当の気持ち②

last update Last Updated: 2025-08-08 19:01:29

 いったい私はどうしたっていうの?

「なんなの~っ」

 頭を抱え、湯舟に頭を沈める。

 帰った私は、頭の中を整理するため急いで風呂へと駆け込んだ。

 しかし、風呂に入ったからといって、悩みが解決するわけもなく……。

 湯舟に浸かりながら、先ほどの私の醜態に頭を悩ませる。

 ヘンリーの態度の変化で、きっと心が不安定になっているんだ。

 そこへ貴子が変な勘ぐりを入れてきて、さらに龍が優しくしてくるもんだから。

 自分の気持ちがわからなくなっているんだ。

 そう、きっとそうだ。

 私が好きなのは、ヘンリー。

 前世からずっと好きで、待ち望んでいた人。

 心が求め、愛している人。ずっと一緒にいたい、離れたくない人。

 ……でも、これって私の感情なのかな?

 如月流華が、心から望んでいる?

 もしかして、貴子が言う様に、前世の姫の気持ちがそうさせているってことはないの?

 わからない、わかんないよ!

 むしゃくしゃする感情をぶつけるように、私はおもいきり水面を叩いた。

 頭上に飛び散った水しぶきが私を濡らしていく。

 はあ~っと大きなため息をつき、天井を見つめ考えにふける。

 ヘンリーに感じているこの感情は、流華、あなたのもの?

 それとも私の前世である姫、あなたのもの?

 じゃあ、龍へのこの気持ちは?

 貴子に言われるまで考えたこともなかったけれど、改めて龍のことを想った。

 そしたら、龍のこともとても大切で、ずっと一緒にいたいし、離れたくない。ということがわかってしまった。

 龍が誰かを好きになって、私のもとから離れていくって想像したら……心が苦しくなる。

 心が疼いて、お腹の辺りがずしんと重くなって、気分が悪い。

 それに……龍には、ヘンリーにさえ感じない安心感を感じる。

 隣にいてくれるだけでほっとするっていうか。
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